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けり。おぼえことにて內春宮より始め奉りて六條院などよりも御とぶらひども所せきまで御心よせいとめでたし。宰相の中將いでたちの所にさへとぶらひ給へり。うち解けずあはれをかはし給ふ御中なれば、かくやんごとなきかたにさだまり給ひぬるをたゞならずうちおもひけり。
「何とかや今日のかざしよかつ見つゝおぼめく迄もなりにけるかな。あさまし」とあるを、をり過ぐし給はぬばかりを、いかゞ思ひけむ。いとものさわがしく、くるまに乘るほどなれど、
「かざしてもかつたどらるゝ草の名はかつらを折りし人や知るらむ。博士ならでは」と聞えたり。はかなけれどねたきいらへとおぼす。なおこの內侍にぞ思ひはなれずはひ紛れ給ふべき。
かくて御參りには北の方そひ給ふべきを常に長々しくはえ添ひ侍ひ給はじ。かゝるついでにかの御後見をや添へましとおぼす。上もつひにあるべきことのかく隔りて過ぐし給ふをかの人もものしと思ひ歎かるらむ、この御心にも今はやうやう覺束なく哀におぼし知るらむ、かたがた心おかれ奉らむもあいなしと思ひなり給ひて「このをりに添へ奉り給へ。またいとあえかなる程もうしろめたきに、侍ふ人とても若々しきのみこそ多かれ。御めのとたちなども見及ぶことの心いたる限りあるを、みづからはえいとしもさぶらはざらむ程うしろやすかるべう」と聞え給へば、いとよくおぼしよるかなと覺して、さなむとあなた