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念じて引きたて給へる屛風のもとに寄りてごほごほと疊み寄せておどろおどろしう騷がすに、內侍はねびたれど痛くよしばみなよびたる人の、さきざきもかやうにて心動かす折々ありければ、ならひていみじく心あわたゞしきにも、この君をいかにしなし聞えぬるにかと侘しさに、ふるふふるふつとひかへたり。誰としられでいなばやとおぼせど、しどけなき姿にてかうぶりなどうちゆがめて走らむうしろで思ふにいとをこなるべしとおぼしやすらふ。中將いかで我としられ聞えじと思ひて、物もいはず唯いみじう怒れる氣色にもてなして太刀を引き拔けば、女「あが君あが君」と向ひて手を摺るに、ほとほと笑ひぬべし。好ましう若やぎてもてなしたるうはべこそさてもありけれ、五十七八の人のうちとけて物思ひ騷げるけはひ、えならぬはたちのわかうどだちの御中にてものおぢしたるいとつきなし。かうあらぬさまにもてひがめて恐しげなる氣色を見すれど、なかなかしるく見つけ給ひて、我としりて殊更にするなりけりとをこになりぬ。その人なめりと見給ふにいとをかしければ、太刀拔きたるかひなを捕へていといたう摘み給へれば妬きものからえ堪へで笑ひぬ。「まことにはうつしごゝろかとよ。戯ぶれにくしや。いでこの直衣着む」とのたまへど、つととらへて更にゆるし聞えず。「さらば諸共にもこそ」とて中將の帶を引き解きてぬがせ給へば、ぬがじとすまふをとかくひきしろふ程にほころびはほろほろと絕えぬ。中將、
「つゝむめる名やもり出でむひきかはしかくほころぶる中の衣に。うえにとり着ばしるからむ」といふ。君、