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Page:Kokkaron1905.djvu/58

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なきが如し。

答へて曰はく。然れども個人は法令を以て行動の動機となすが如く淺薄なる者にあらず。深き性情を有し、自發的に種々の行動に出でんとす。國家の之を許すあり、許さゞるあり。特別なる形式を規定するあり。斯く思考すれば則ち個人は本來自由にして偶然的に國家の意志に阻まるゝことあるなり。國家より見ればこそ個人行動の範圍を定めたるなれ、個人より見れば國家の阻まざる所なり。則ち個人は國家の意志に服從する點に於て國家の一員たるなり。國家が全體として個人を拘束するにあらず。個人は本來自由に