Page:Kokkaron1905.djvu/59

提供:Wikisource
このページは校正済みです

して一方面に於て拘束せらるゝのみ。個人の國家に於けるは其の精神力の一部を使用するに過ぎざるなり。

三 社會心理と國家(二)

國家の一員としての個人は其全人格を指すにあらずして國家意志に服從しつゝある點のみを指すなり。斯の精神作用によりて國家組織が成就するなり。意志作用が常に一定の規法を踏みつゝあることによりて成立し居るなり。然るに意志作用が此の如き活働をなしつゝある所以は意志は一方に於て主權者に結合し主權力を構成しつゝあるを以てなり。他の方面