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書館經營者の爲めに圖書館講習會と協議研究會とを開催し、町村圖書館事業の普及開展を促進すると共に縣立圖書館に於ては種々の方法施設とにより、圖書館の宣傳と民衆化とに努め又各郡市町村及圖書館、學校、青年團、處女會等各種團体と相連絡して巡回文庫の利用並に圖書館外貸出とを奨勵し以て一般縣民の讀書趣味の普及と向上とを圖りし爲め、昭和元年度末に於ては館數に於ては百二十二館に達するに至り、縣立圖書館閲覧人員も六拾二萬千五百三十一人一日平均千八百八十人、閲覧冊數も六拾八萬三千五百二十一冊、一日平均二千六十五冊に達するの顕著なる成績を呈するに至れり。而して多年の問題なりし本館改築計劃も機漸く熟し、大正十四年の縣會に於て二十二萬二千圓余の改築案通過し、大正十五年十一月工事に着手し、今や照國神社々前規模宏壮にして然も設備の完全せる縣立圖書館竣成し、南洲翁五十年祭を機とし、意義ある落成式を擧行するに至りたるは、誠に慶賀に堪へざる所なり。本縣圖書館事業も昭和一新と共に此期を劃し、愈々更始一新して改新活動の時期に入り、吾人圖書館に從事するものゝ責任の重且大なるを覺えずんばあらず。

 吾人は眞に本縣文化の普及と向上とを圖る爲め、此の機會に町村當局の盡力と、有志の後援とに依り、未だ圖書館の設置なき町村に於てはこれが設置に努められ、一町村一館主義の實現されん事を切望すると共に、更に進んで一校區一館主義の理想の實現を期し、以て本縣下に圖書館即ち文化網を張展し、民衆教化の實を擧げ、學校教育と駢立して教育の目的を達成し、縣民の福利の増進を圖り、以て圖書館の使命を全ふせん事を期す。


二 鹿兒島縣立圖書館沿革略

 明治四十五年四月一日私立鹿兒島教育會附屬圖書館、縣に移管され、鹿兒島縣立圖書館と改稱し、學務課長豊田勝藏館長事務取扱に任せられ、事務引繼、諸規則の改正を行ひ、仝四月七日より開館す。

 大正元年十月二十八日片山信太郎館長に任ぜらる。

 大正二年五月十日鹿兒島縣立第一中學校跡に移轉し、五月二十日より開館す、當日の入館者百七十名に及べり。

 大正二年十一月三十日郷土志料展閔會を開催す。