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ゐると絕えず主張してゐるにも拘らず、一九三九年以降はアメリカ合衆國大統領には何ら關係のない中央ヨーロツパの問題に容喙してゐるのである。第一には彼は、斯くの如き問題を理解してゐない。第二に、假令彼がこれを理解し、又その史的顚末を洞察してゐるとしても、ドイツの元首がアメリカの情勢を判斷し、又はこれに對する意見を披瀝する權利を有しないと同樣に、彼も亦中央ヨーロツパ圈について世話を燒く權利がないのである。(喝采)否、ルーズヴエルト氏は、もつと、更に前進した。彼は凡ゆる國際法上の規約を蹂躙して彼の氣に入らぬ政府には承認しないとか、新秩序を認めないとか、又旣に瓦解した政府の特使は、そのまゝにするか、或は合法的政府に任命するとか聲明してゐる。否、遂には彼は、外國の領土を簡單に占領する權利を得る樣な條約を、斯くの如き使節と締結する程になつたのである。一九三九年四月十五日には、ルーズヴエルトは余並にムツソリーニ首相に催吿狀を發したが、これには地理的及び政治的無知識の混合し、一定の金持階級の高慢不遜を表示してゐる。しかもこれに依つて我々は、聲明書を發表しどこかの國々と不可侵條約を締結せよと要求され