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も此の男も手を差延べた者は全く狂信的に惡意を懷くユダヤ人そのものであつた。斯くして紛爭を誘發するか或は旣存の紛爭を激化し如何なる揚合でも紛爭が平和的に解決されるのを妨害せんとする意味に於て、ルーズヴエルトの影響力が益々効力を發したのである。この男の年來の唯一の希望は世界のどこかで――最も好むところはヨーロツパで紛爭が起ることであつてこの紛爭は紛爭國の一に對するアメリカ經濟の責任を通じアメリカをそれに近寄らしめこれによつて國民の關心を對內的經濟政策の衰微から對外に外らされるに適當な政治的利害關係の縺れ合ひを作る可能性を與へるものである

 此の意味に於て彼のドイツ國に對する行動は、特に亂暴極まるものがある。一九三七年以降彼は數度の演說を行つてゐるが、その內に特に卑劣であつたのは一九三七年十月五日のシカゴに於ける演說である。これらの演說でこの男はアメリカの輿論をドイツに對して計畫約に挑發してゐるのである。彼は所謂全體主義國に對し一種の檢疫をなすと恫喝したのである。