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Page:Iki-no-Kozo.djvu/78

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四 「いき」の自然的表現

 今迄は意識󠄂現象としての「いき」を考察して來た。今度は客觀的表現の形を取つた「いき」を、理解さるべき存在樣態と見て行かねばならぬ。意味としての「いき」の把握は、後者󠄃を前󠄃者󠄃の上に基礎附け、同時に全󠄃體の構󠄃造󠄃を會得する可能性に懸つてゐる。さて「いき」の客觀的表現は、自然形式としての表現、卽ち自然的表現と、藝術󠄃形式としての表現、卽ち藝術󠄃的表現との二つに區別することが出來る。この兩表現形式が果して截然たる區別を許すかの問題(一〇)、卽ち自然形式とは畢竟藝術󠄃形式に外ならない