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たみ帶」、だんだら染、友禪染など元祿󠄁時代に起󠄃つたものに見られるやうな餘り雜多な色取をもつことは「いき」ではない。形狀と色彩󠄃との關係は、色調を異にした二色または三色の對比作用によつて形狀上の二元性を色彩󠄃上にも言表はすか、または一色の濃淡の差或ひは一定の飽󠄄和度に於ける一色が形狀上の二元的對立に特殊な情󠄃調を與へる役を演ずるかである。然らばその際用ひられる色は如何なる色であるかといふに、「いき」を表はすのは決して派手な色ではあり得ない(一五)。「いき」の表現として色彩󠄃は二元性を低聲に主張するものでなければならぬ。「春色戀白浪」に『鼠色の御召縮緬に黃柄茶の絲を以て細く小さく碁盤格子を織󠄂出したる上着、……帶は古風な本國織󠄂に紺博󠄃多の獨鈷なし