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はもつてゐない。繪畫的模樣が模樣として「いき」であり得ない理由はその點に存してゐる。光琳模樣、光悅模樣などが「いき」でない譯も主としてこの點によつてゐる。「いき」が模樣として客觀化󠄃されるのは幾何學的模樣のうちに於てである。また幾何學的模樣が眞󠄃の意味の模樣である。卽ち、現實界の具體的表象に規定されないで、自由に形式を創造󠄃する自由藝術󠄃の意味は、模樣としては、幾何學的模樣にのみ存してゐる。
模樣の形式は形狀の外になほ色彩󠄃の方面をもつてゐる。碁盤縞が市松模樣となるのは碁盤の目が二種の異つた色彩󠄃によつて交󠄄互に充塡されるからである。然らば模樣のもつ色彩󠄃は如何なる場合に「いき」であるか。先づ、西鶴のいはゆる「十二色のた