Page:IP Editors report (Japanese).pdf/8

提供:Wikisource
このページは校正済みです
  • 編集者間では、荒らしがIP編集者によって行われがちであることが共通認識として一致している
  • 荒らしには明快な荒らしとわかりにくい荒らしの2つがある
  • 荒らしは、多くのユーザーの注目を集めるトピックや意見が両極に分かれるもので起こりやすい
  • [訳注:一般の]編集者は主として明白な荒らしに対処している。一方、わかりにく荒らしは管理者の分野である。しかし、[訳注:荒らしに対処するには]管理者の数が足りていない。
  • 過去に、IP編集の規制に関して何度も議論が持ち上がった。しかし、合意には至らなかった。

ログインユーザーのうち何人かが、荒らしの主たる発信源だとしてIP編集者を強く非難しています。一方で、他のユーザーは、IP編集は必要である、[訳注:IP編集者を受け入れることはウィキペディアの方針に]かなっていると考えています。[訳注:IP編集を否定するにしろ肯定するにしろ]いずれの側でも、匿名性と言う点で有利なIP編集者によって荒らしが行われがちであることでは認識が一致してます。[訳注:今回]私たちがインタビューした巡回者たちは、IP編集による荒らしの特徴を次のように見ています。

  • 明白な荒らし:中傷や記事破壊
    • 主としてIP編集者や捨てアカウントで行われる。
  • わかりにく荒らし:嘘の情報や、特定の編集者が編集した記事への嫌がらせ
    • 主にログインユーザーが行う。ソックパペットや捨てアカウントを含む。
      • 特定のトピックや特定のユーザーへの粘着
      • ブロックされたユーザーのソックパペット、しばしば、[訳注:自分を]ブロックした者への報復が目的
    • 実行者が誰なのかは特定できない

荒らしは、多くの人を引き付ける記事で起こりがちです。荒らしは、最近メディアで取り上げられたトピックや、見解が両極端に分かれているトピックでしばしば生じます。たとえば、政治やセレブの記事が挙げられます。最近ひどく荒らされた記事としては、石原慎太郎(元東京都知事、2022年1月死去)がよい例です。[訳注:この記事では]例えば、石原の顔写真が金正恩のものに替えられるといういたずらがありました(現在はリバートされています)。それ以外にも、狂信的なファンのついているトピック(日本の鉄道のような)も荒らしを引き付けやすいトピックです。

[訳注:ウィキペディアの]コミュニティは2通りのやり方で荒らしに対処しています。明らかな荒らしには、普通は見つけた[訳注:一般の]編集者が対処しています。荒らしがひどければ、管理者が記事を保護し、実行者のアカウントや[訳注:実行者がIP編集者であれば]IPアドレスをブロックします。もっとわかりにく荒らしやしつこい荒らしは管理者へ報告されます。これは、大部分の編集者にはどのように処置すべきかよくわからないからです。しかしながら、私たちがインタビューした編集者たちによれば、リソースが不足しており、対処のスピードが遅いということです。ある回答者は、この問題が生じるのは、管理者になるにはコミュニティの信任を得るためにあまりに多くの努力が必要であるためだ、と指摘しています。加えて、その作業の特性から管理者は他の編集者から恨まれやすいのです。