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今回のインタビューや調査では、何人かが他の編集者の編集に対して不満を表しています。彼らは、論争が生じた記事の編集をコントロールしようとしてアンフェアな手口が使われ、様々なやり口で仲間の編集者に嫌がらせをしていると信じています。

明確な証拠があるわけではありませんが、日本語版ウィキペディアで党派が形成されるため、意思決定にも影響を与えているようです。ある回答者は、日本語版ウィキペディアのスケールや心性を「村社会」に求めたがっていました。(日本で、「村社会」とはある種の伝統的農村社会を差して使う言葉で、小規模で孤立しており排他的に結びついていることを特徴としています。)この理解によれば、コミュニティーのメンバーは、継続的に編集に寄与するログインユーザーだということになります。このようなコミュニティーの特性、ユーザー同士が互いに深く結びついていて、お互いのことをよく知るようになるという特性が、党派形成の温床となっており、彼らの見解を実現しようとする温床になっています。(回答者のうち2人が、ウィキペディアの外部で関係を持っている編集者〈Twitterのようなソーシャルメディア〉について言及しています。)この回答者は、ある特定のケースについて回想しています。 その事例とは、最近ある有名な編集者(兼管理者)が、自分に有利になるように党派を操作して、コミュニティー全体に及ぶ論争を巻き起こしたものです。この編集者は多重アカウントを持っていて、ユーザー間の衝突を引き起こしていました。この衝突がきっかけで、何人もチェックユーザーや管理者が辞任する事件が続きました。この回答者は、状況は非常に深刻なのだから、ウィキメディア財団はチェックするべきだと言っています。

前述の、日本語版ウィキペディアの敵対的な特質については、なぜログインしないという選択をするのかの本質的な理由として、嫌がらせを避ける、論争に巻き込まれることを避けるためだと多くの編集者が述べています。実際、あるIP編集者(現在もIP編集をしている)は、[訳注:ユーザー間の]様々な対立を解消しようとしたが疲れ切ってしまい、今はログイン編集を辞めて、匿名のIP編集しかしていないと述べています。 この編集者は、二度とログインして編集するつもりはないと言っています。

論争が生じた際、ログインユーザーがIP編集者と実りあるコミュニケーションを継続してとることが困難だという点では、対立はIP編集者に起因するものです。可変IPアドレスという特性からIP編集者は自分の発言に責任を持たなくてよいのです。したがって、ほとんどのログインユーザーが、議論ではIP編集者の発言を真面目に受け取っていないと述べています。あるログインユーザーは、「議論に参加しようという編集者は普通、ウィキペディアでかなりの経験を積んでいます。しばらくウィキペディアに参加していれば、[訳注:IP編集者が]アカウントを作るように促されることがあるのを知ることになるでしょう。もしアカウント作成を拒絶すれば、私は、そのユーザーには何か悪意があるのだろうと考えるでしょう。」と述べています。また、別のログインユーザーは「議論を良い方向にもっていこうとするIP編集者の発言を見たことがあるとは思えない」と言っています。

IP編集と荒らし