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至るに及びて、乃太政大臣にのぼる。兒の不肖を以て且大臣大將を辱くす。宗族朝廷にならちて、田園天下に半なり。恩をむさぼること極れり。官家のにくむ所たり。誰か宜ならずと謂はんや。而れども運命未だきず。讒人旣に獲たり。宜しく罪の當る所を論じて、退きて事の由をぶべし。則公家、あに威をはらさゞる有らんや。何ぞ必しも草々に爲さんや。兒、また之を聞く、『王事を以て家事を辭し、家事を以て王事を辭せず』と。况や善惡較著なる者をや。重盛六位より三公に至る。君恩に沐浴する、擧ぐるに勝ふ可からず。嚮背の决、自、在るあり。素より撫循ぶじゆん