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Page:Hōbun Nihon Gaishi.pdf/1578

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之に由るなり。政は舊法に因るべし凡そ政は其舊に因るに在り。我れ甞て陸奥に赴き、源賴朝の榜牌ばうはい を見たり。其辭に曰く、『國事みな泰衡やすひらの舊に因る』ど。吾れ頼朝の能く東すゑを定 めしを信ずるなり。介冑衣纓夫れ介冑かいちうの習は鐵の如く、衣纓いえいの習は金の如し。金は以て虛 飾を爲す可く、鐵は以て實用を爲す可し。國家將に衰へんとすれば、必衣纓の習 を喜ぶ者︀あり。新法を建立して、其華飾を務むるは、是れ大蠧たいとなり。我が家の法度はつと は、みな祖︀考そかう、かつ耆舊きゝうと議し、深く謀り遠く慮りて、其弊なきを期せり。變更す る所ある勿れ。之を刀に譬ふれば、鍛鍊一成して之を子孫に傳ふ。子孫、各好尙 を異にし、しば冶工やこうに附せば、則刀終に用ゐる可らす。凡故家こかに貴ぶ所は、其奮 製を存し、舊臣を愛せよ舊臣を養ふを以てのみ。候伯將士、皆我と苦勞を同じくする者︀なり。 子孫も亦、宜しくともに富貴を同じくすべし。故なくして之を滅絕する勿きは、其 忠の說祖︀先の忠に酬ゆる所以なり。凡所謂忠は、豈獨德川氏にのみ忠ならんや。乃天に 忠なり。我も亦天に忠する者︀なり。故に天、之に授くるに大抦を以てす。然れど も自其柄を有し、驕奢怠惰にして、生民をしへたぐれば、則天まさに之を奪はんとす。 故に吾れ岡崎に主たるときは、隣國の攻守を慮り、關東に主たるときは、三道の 治亂を慮る。天下を定めて、四境の安危を慮る。未だ甞て一日も懈怠けたいあらず。夫