先鋒は南面より進み、北面は濟り難︀きを以て、伊奈黒政伊奈忠政をして、淀川を長柄に壅
ぎ、大和川を鳥飼︀に壅がしめ、尋いで毛利、福︀島氏をして、之や助けしむ。
十一日、高虎、大仙陵大仙陵に至る。薄田兼相時に城將薄田兼相、山口弘定、平野を掠む。之を
望みて走る。城將大野道見、天王寺を焚き、以て我軍を撓す。高虎、動かず。終
に直孝と進みて住吉に陣す。城將堀氏弘、界浦を掠む。之を聞きて走り、高虎の
軍前を過ぐ。前部渡部了、其伏あるを慮り、敢て擊たず。淺野但馬守淺野但馬守、兵を將ゐ
て紀伊を發し、行土兵の大阪に應ずる者︀を撃ち、來りて高虎と事を議し、還りて
大鳥に陣す。
池田利隆︀池田利隆︀、二弟忠繼、忠雄と神︀崎川に至る。城昌茂、命を奉じて其軍を監す。二
弟は下流を亂り、利隆︀は上流を渉り、進みて長柄川長柄川に至る。城將織田長益等、萬
人を以て、天滿、中島を守る。利隆︀、濟らんと欲す。昌茂、之を止む。其夜、二
弟復下流を渡り、守兵を遂ひて中島を取る。
將軍は、將軍江戶を發す前將軍の京師に入る日を以て、江戶を發し、程を兼ねて進み、十日にし
て伏見に至り、其明、二條に詣りて事を議す。
十七日、前將軍は住吉に陣し、將軍は平野平野に陣し、義直、賴宣は住吉住吉の北に陣し、