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Page:Gunshoruiju27.djvu/368

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しあさくはあらじと思ふに。かくつかふ風だにあかずぬるく覺えつる。あふぎもうちをきてまづひきあげつべけれ。またてやみ手止もせずあふぎをつかひくらして。ゆふすゞみのまちいでたるがうれしければ。はしぢかくふしてきくに。月のいとあかきに。井ちかき所の水くみたるをとこそいとすゞしけれ。ましてやり水などのちかきは。いふべきにあらず。

南ならずはひむがしのひさしのいたのかげみゆばかりつやめきたるに。あざやかなるうはむしろうちしきて。三尺の木丁のかたびらのいとすゞしげに。うすもののひもなどのみえたるをうちかけて。をしやりたればすきて見ゆるいとおかし。きみはすゞしのひとへに。くれなゐのうちぎのいたうなへぬをこしにすこしひきかけてそひふしたりとうちに火ともしたる二まばかりをさりて。すだれたかくまきあげて。女ばうわらはなど。なげしによりかゝりたるもあり。おろしたるまにうちふしたるもあるべし。ひとりに火よくうづみて。よきくろばうをたきにほはしたるいと心にくし。よひうちすぐるほどに。しのびてかどうちたゝくをとするにあはせて。れいの所にと心じりの人氣色ばめば。ひとめはかりてやをらいざりいりたるこそさすがにおかしけれ。かたはらにびはのよくなるををきたるを。そのかたの人なれば。物がたりのひまにしのびやかにひきならしたるいとおかしうきこゆ。六月のつごもり。七月のついたちなどは。いみじうあつければ。よろづの所あけながら。うたゝねにてよるもあかすかし。月のころはねおどろきてみいだすもいとおかし。やみもおかし。ありあけはいふべきにもあらず。いとつやゝかなるいたのはしぢかう。あざやか