Page:Gunshoruiju27.djvu/366

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そくてひきゆひ。もしはしろきかみをねじてむすびくはへなどしたるも。さまいとおかし。いとながきねをふみのなかにいれて疊たるも。いとえんなる心地す。返事かゝむとて。かたらふ友だちといひあはせ。みせかはしなどしたるもおかし。人のむすめやむごとなきところなどに。御ふみきこえかはしたまふも。けふは心ことにおぼえて。なまめかしうおかしうぞおぼゆる。夕ぐれのほとゝぎすのうちなのりてゆくもすべておかし。おなじころあめふりたるにもまさらね。あさはかなるあかぎぬきたるものゝ。草のいとあをきをしりかぎ。うるはしくきりたるやうにしてもてゆくこそあやしうおかしけれ。世のなかなべてあをく見えわたるに。ところうるはしくはあらぬかきねどもに。うのはなの枝もたはゝにさきかゝりたるなどよ。又さやうなるみちのいとほそきをゆくに。うへはつれなく草のおひしげりたるとみゆるを。たゞざまになかとゆけば。したはえならざりける水のふかくはあらぬが。さらと人のあゆむにつけて。なりつゝとばしりたるいとおかし。そばなりけるよもぎのをしひしがれたりけるが。わのまひたりけるに。おきあがりてふとかゝへたるかもいとおかし。さていきもていけば。たかき木どもなどある所になりてほとゝぎすのいとらうしくかどある聲にうちなきたるは。あないみじと心さはぎしておぼゆかし。いとあつきほど。夕すゞみといふほどのもののさまなどおぼめかしきに。おとこくるまのさきおふはいふべきにもあらず。たゞのひともしりのすだれあげて。ひとりふたりものりてはしらせゆくこそいとすゞしげなれ。まいてびは琵琶かいしらべ。ふえのを