もおかしうおぼゆ。とをきほどはえもとをるまじうみゆる。ゆくさきのちかくなりもてゆけば。さしもあらざりけるこそおかしけれ。たれともしらぬおとこ車のしりにひきつゞきて。むごにくるもおかしと見るほどに。ひきわかるゝ所にて。みねにわかるゝといひたるこそおかしけれ。せちは五月五日にしくはなし。こゝのへのおほどのよりはじめて。いひしらぬたみのすみかまで。わがもとにおほくふかむと思ひさはぎて。ふきわたしてふけらかしたるさうぶよもぎのかほりあひたるかなどは。なをいとさまことにめづらし。いつかは又さる事はある。そらのけ色くもらはしきもいとおかしき。さきの御もとには。ぬひどのよりくすだまとて。いろ〳〵のいとどもくみさげて。あやしげにあみたるさうぶをまいらせたるも。さるかたにおかしうこそあれ。とりいれて三丁たてたるもやのはしらの左右にゆひつけたるをつきごろありて九月九日に又きくをすゞしのさいてにつゝみてまいらせたるに。とりかへてぞすつめるかし。さうぶは。きくのおりまであるべき物にやあらん。御せくまいるわかきひと〴〵。さうぶのさしぐし。物いみつけなどして。さま〴〵のからぎぬかざみどもにながきねにおかしき花の枝ども。むらごのくみしてつらぬきつゝつけなどしたるは。はじめてめづらしくいふべきにもあらねど。なをつきせずこそおかしけれ。つぢありくわらべなどもほど〳〵につけつゝ。いみじきわざしたりと思ひて。つねにたもとをみ人にくらべなどえもいはず思ひたるを。そばへたるこどねりわらはなどにひきとられて。なきなどするもおかし。むらさきのかみにあふちのはなつけ。あをきかみにさうぶのはほ