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Page:Gunshoruiju27.djvu/355

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庭のあさぢに露のきらめきて。たまのやうに見えたる。又かはたけの風にふかれたてるをと。ゆふぐれもあかつきもよなかにも。ねざめてきゝたるいとあはれなり。又思ひかはしたるなかのつゝむことありて。心にまかせぬ。山ざとの雪。九月廿七日のあか月がたまで人と物がたりしてゐあかしたるに。あるかなきかにほそき月の山のはよりわづかにみえたるこそあはれなれ。又あれたるやのいたまよりもりくる月影。やま里のしかの聲。九でうのしやくぢやう錫杖の聲。念佛のゑかうこゑよき人の申たる。あれたるいへのよもぎむぐらはひかゝりたるにはに月のくまなうあかき。あしうはあらぬかぜのをと。かたちよきわかき人の物思ひたる。さてはいけある所の五月のなが雨のころこそいとあはれなれ。さうぶこもなどのおひたち歟たれば。水もみどりなるに庭もひとつ色にみえわたりて。くもりたるそらをつくとながめくらしたるは。いみじうこそはあはれなれ。いつもすべていけある所は。あはれにいみじうおかし。冬の氷したるあしたは。いふべきにもあらずかし。たてゝつくろひみがきたるよりも。うちすてゝあれ。みぐさがちなるが。かぎりなくあはれなるなり。

にげなき物。かみあしき人の白きをり物のきぬきたる。又したがみたはつきたる人のかみにあふひつけたる。げすの家のあやしきに雪のふりたる。また月のさしいりたるもにげなしかし。ゑふ衞府のふとりたる。月のあかきにむなしぐるまなどいふものゝありく。きたなげなきおとこのにくげなるめもたる。おいたる女のはらたかくてありく。わかきおとこもたるだににげなきに。こと人のもとへゆくとて。ね