Page:Gunshoruiju27.djvu/353

提供:Wikisource
このページは校正済みです

らでかうかたるは。なを人よりはこよなきなめりとや思ふらんと思こそはづかしけれ。いでさるはすこしも思ふ人にあへば。心もとなきなめりとみゆることもあるぞ。はづかしうもあらぬかし。いみじうあはれに心ぐるしうみゆるをも。いさゝかなにとも思はぬなめりとみゆるは。いかなる心ぞとこそあさましけれ。さすがに人のうへをば。もどき物をいとよういふよ。ことにたのもしき人もなき宮づかへ人などをかたらひて。たゞならずなりぬるありさまなどをも。しらでやみぬるよ。

むとくなる物。しほひのかたにをるをぶね。おほきなる木のたふれてねをさらけてよこたはれふせる。ゑせ物のずさ。かうかぶるひじりのあしもと。かみみじかき人の物とりおろして。かしらけづりたるうしろで。おきなのもとゞりはなちたる。すまひのまけているうしろで。人のめのすゞろなるものもしらでかくれたるをかならずたづねさはがむものぞと思ひたるに。さしもあらずのどかにもてなしたれば。さてもえたびだちゐたらで。心といできたる。またなま心おこしたる人のしりたるひとゝ。すゞろなることいひむづかりて。ひとつにもふさじとみしぐりいでたるをひきよすれど。しゐてこはがれば。あまりになりては。人もさはれとて。かいくらみてふしぬるのちに。冬などはひとへぎぬばかりをひとへきたるも。あやにくがりつるほどこそさむさもしられざりつれ。やう夜のふくるまゝに。さむくもあれどおほかたの人もみなねにたれば。さすがにおきてもえいかでありつる。おりにこそよりぬべかりけれと。めもあはず思ひふしたるに。いとゞおくのかたよりものゝひしめきなるもいとおそろしう