Page:Gunshoruiju27.djvu/352

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そぎおるゝこそいかならむ心なるらんと心うくおぼゆれ。むかしのくら人は。らいねんおりんとて。ことしの春夏よりだにこそなげきたちけれ。いまの世にはしりくらべをこそすめれ。又家のなかわろくて。としごろありありて。はじめてずらうになりたる人。わづかにあるずさも。なめげにあなすりそしりにくみせしに。我にもまさりたる人きあつまりて。かしこまりまどひ。いかでおほせ事うけ給はらんとついそうしたるは。すぎぬるかたと人にいふべからず。又いみじうちいさきさうぶをうへたりしが。ねのいとながくなりにけるをひきいでたるこそあらぬものとおぼえてめでたううつくしけれ。

はづかしき物。いざときよひのそう。みそかぬす人のさるべきくまにゐてみるらんをばたれかはしる。くらきまぎれにふところに物などひきいるゝ人もあらむかし。それはしもおなじ心におかしとやみるらん。よひのそうは。いとはづかしき物なり。わかきひとあつまりて人のうへをもいひわらひにくみもするを。つくづくときゝあつむらん心のうちはづかしかし。あなうたてかしがましなどおとなびたる人氣色ばみいふをもきかず。いひのはては。みなうちとけてねぬるのちもはづかし。おとこはうたて思ふさまならず。心づきなきことありとみれど。さしむかひたるほどはうちずかして。思はぬことをもいひたのむるこそ。はづかしきわざなめれ。ましてなさけありこのましう。人にしめられなどしたる人は。をろかなりと思はるべうも。もてなさずかし。心のうちにのみにもあらず。あまたみなこれがことはかれにいひ。かれがをばこれにいひ。かたみにきかすべかめるを。わがことをばし