Page:Gunshoruiju27.djvu/341

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にくき物。いそぐ事あるおりにきて。そこはかとなきながごとするまらうど。あなづらはしきほどならば。けふしかのことなむある。のちになどいひてもやりつべきに。さすがに心はづかしき人なるこそむづかしけれ。すゞりにかみのいりてすられたる。又すみのなかなるいしのきしとすれたるもにくし。ものゝけわづらひたるおりに。よびもてきたるげんざのほかにてこうじたりけるにや。ねぶりをのみしてはかしうかぢせぬ。なでうことなき人の物いひがましうえかちなる。ひおけすびつなどにてのうらうちかへしあぶりて。をしすり。かほをしのべなどしゐたる人。せめてあやしうなりぬる人は。あしのうらをさへかきいでてあぶりおるかし。又人のもとにきてゐむとする所をことにちりもみえねど。まづあふぎしてかきはらひ。ふたとあふぎちらし。とむきかうむきゐもさだまらず。ひろめく人ありかし。さやうのことは。いつかはわかやかなる人。おいたるもはかしききはのひとは。する物かはなど思へど。をのづからさしもあらぬやうもあり。おのこはやがてかりぎぬのしりかいまくりあげてゐるかし。もとより思はしうもあらぬ人のいとゞにくげもしはらだちたる。又身のうへなげきもきゝにくし。ものうらやみなどする人もいとにくし。人のきかせぬ事ゆかしがり。あながちにとひたづねきゝては。又わがもとよりしりえたるやうに。むかふ人ごとにかたり。人のうへをもあつかひなどする人。にくしとはをろか也。物きかむとするおり。かしがましくなくちご。からすのあつまりてざめきたるにくし。しのびてくる人みつけてほゆるいぬ。うちころさまほ