Page:Gunshoruiju27.djvu/340

提供:Wikisource
このページは校正済みです

年あくべき國のかずなどをぞをよびうちおりつゝかぞへなどする。あるじもいまいく月を念ぜよ。ことにもあらずなどいひたる。なをいみじうすさまじげなり。よろしうよみたりとおもふ歌を人のがりやりたるに返事なき。けそう懸想ぶみのはいかゞせむ。それだにおりおかしうなどある。返事なきはすさまじ。まして女どちのなからひのわろきだに。くちおしうおぼゆ。またさはがしうときめかしき所に。ふるめかしうさびしきところなる人のをのがつれなるまゝに。ことなる事なき歌よみつゝ。つねにをこするいとすさまじ。又ものゝおりのあふぎをかならずようしてむと思ふ人にいひつけたるに。その日になりてもてきたるが。なでうことなきさまなる。いとわびし。すさまじ。うぶやの所のうぶやしなひ產養。むまのはなむけなどのつかひに物とらせぬはかなき。くすだまうづち卯槌などやうのつかひにだにかならずとらすべし。思ひかけぬことにもえたるをばいとけふある事に思ひたるに。ましてこれはさる事あらむとすらんとかねてより心ときめきしたるに。なきはいみじうすさまじき事なり。むことりをしてこなたかなたのおやなど。いつしかと思ひて。おもふさまなるなからひのとしごろになるまでこうまず。うぶやしなひなどせぬ。いとくちおしうすさまじ。又おとなびたるこおほく。むまごなどあまたになりたる人のおほぢやおやなどのひるねしたるこそすさまじけれ。いとさらで。またわらはなるほどのこどもも。おやどものひるねしたるほどは。いみじうこそよりどころなうすさまじげに思ひためれ。しはすのつごもりのなが雨。ねおきてあむるゆ。はらだたしうさへこそおぼゆれ。