Page:Gunshoruiju27.djvu/342

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しうおぼゆ。人しげくわりなきところに。ふせたる人のいびきする。又しのびてくる人のながゑぼうしして。さすがに人にみつけられやせむとまどふほどに。あらくものにつきさへてそよろとならしたる。いみじうにくし。もかう帽額のすゞ。はしのきもようゐなくうちをけば。いとしるくなるかし。つまどやりどなども。あらくはなちあくるはいとうたてあり。さうじ障子もさぞある。すべてなにごとにも。心をくれたりとみる人は。いとにくゝこそおぼゆれ。ねぶたしと思に。のほそごゑになのりて。かほのもとにとびありくだににくきに。さる身のほどにかぜさへありて。あたりたるこそいとにくけれ。またはへの秋などおほくて。よろづの物にあしはぬれつめたくて。かほにもゐありく。いとむづかしうにくし。さるはこれらひとしう。かたきにすべきさまにぞあらぬや。又きしめく車いとにくし。のりてゆくぬしは。みゝもきかぬにやあらむとおぼゆ。人々世のなか物がたりするに。我にもいはぬ人のさしいでして。ざいまぐれ才枉いひとりていふいとにくし。むかし物がたりをもするに。しりたりけるは。ふとおくいひいでてくたしたるも。おほかたわらはもおとなもさしいらへは。いとにくき事なり。おなじ事なれど。さることやある。さやきゝしなど人のいふにつけていふはよし。よるねずみのつれてはしりたる。あからさまにきたるわらはべこどもなどをめづらしびに。くだ物くはせ。おかしきものとらせなどしたるに。ならひてつねにきてゐいりて。あたりにおきちらしたる物にてふれそゝぎゐたるいとにくし。家にても宮づかへ所にても。あはでありなむと思ふ人のきてせうそこしたるに。そ