Page:Gunshoruiju27.djvu/175

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のさまも見しるなり。あなかしこ。心不當に人のためわろくふるまひ。かたくなに欲ふかく能なからん人を友とすべからず。人のならひにてよきことは學がたく。あしきことは學よきほどに。をのづからなるゝ人のやうになりもて行なり。此ことはわが身にふかくおもひしりて侍なり。鳥の跡ばかりかなゝど書つくる事は。はづかしく思ひ侍し女の。ものよく書侍しにあひて學侍き。かたのごとく和歌の道に入て。二代の新後拾新續古集に名をかけて侍ること。連歌などいふことも。みなわかき友だちといどみあひ侍りて。はじめは我執をおこし。中ほどは名聞をおもひ侍りしほどに。をのづからとし月の行につけて。こゝろの數奇侍て。かたのごとくの人づらにもたちまじはり侍也。老ののちは人にいとはれて。さし出がたきとかや申なれば。かたはらの能だにもなからましかば。人に有ともおもはれず。我心をもなににてかなぐさめ侍べき。まりなどもわかゝりしときは。人數のかけたるところに。せめ立られまいらせしほどに。辱なきまじらひし侍しほどに。終にはかひ〴〵しからねども。そのしるしは。人の名足又上手下手のふるまひ。心づかひなどは見しりて侍れば。いかなる上手なりとも。などかは辱給はざらん。又絲竹の道は。さしもおやの重ぜられて。三曲にいたるかひにとて。物の心もしらざりし比は。わづかに七ばちなどばかりをしへられ侍しを。世につかへしいとまなさに中絕き。そのゝちはかやうの事學ぶ友だちにも。そひ侍らざりしほどに。心ざしをむなしくし侍りき。口おしきことなり。これにつけても。ともによりて能はつきぬべし。むかしよりいまゝでも。男女の色好の名をとりたる人は。別の