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Page:Gunshoruiju27.djvu/173

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身のうき時などは。神社に祈などする人のみ侍る也。いとはかなくおぼゆる也。たゞ後生善所と祈ほかは。佛神の願望侍べからず。それぞしるしも侍べけれ。それすら眞實の道には。直にいたらずと敎き。

一君につかへたてまつる事。かならすまづ恩を蒙て。それにしたがひて。わが身の忠をも奉公をもはげまさんと思ふ人のみ侍なり。うしろざまに心得たる事なり。もとより世中にすめるは君の恩德なり。それをわすれて猶望を高くして。世をも君をもうらむる人のみ侍る。いとうたてしき事也。

一世中にやくの侍べき人の。その身を卑下して我身やすくはとおもふ。かへす〴〵口おしく頑しき事也。人と生なば。万人に超。他人をたすくべき願をおこして。他のため心をくだくを生々世々のおもひ出とはすべきなり。菩薩といふもたゞ此ためなれば。凡夫の身として菩薩の願にひとしくせば。思ひ出なにごとかこれにまさるべき。

一能の有人は。心のほどもおもひやられ。その家も心にくき也。世中は名利のみなり。能は名聞なれば。不堪と云とも猶たしなむべし。心のをよび學びもて行ほどに。物のへたといふとも。功の入ぬる事は。かたはらいたきことのなき也。よくする事はまれなり。尋常しくなりて。人なみに立まじはるまでを詮とすべし。いかに高き家に生。みめかたちよく侍人も。歌よむとて短册とる所。詩作るとて韻などさぐり。管弦の所の器のまへわたし。連歌の中にせぬ人にて他言うちまじへ。音曲する人の座しきにつらなりてしつらづえつき。鞠などの塲に露をだにえはらはず。又わかき友だちのよき手跡にて消息かきかはしなどす