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心をばうるはしくまことしくもちて。そのうへに色花をそふべき也。男女の中だにも。實なきは志の色なきまゝに。なくばかりのことまれにこそ侍れ。
一我身をはじめておもふに。おやの心をもどかしう。敎をあざむくことのみ侍也。をろかなるおやといふとも。そのをしへにしたがはば。まづ天道にはそむくべからず。まして十に八九は。おやの詞は子の道理にかなふべき也。わが身につみしられ侍なり。いにしへもどかしうをしへをあざむく事のみ侍しおやのこと葉は。みな肝要にて侍る也。他人のよきまねをせんよりは。わろきおやのまねをすべきなり。さてこそ家の風をもつたへ。その人の跡ともいはるべけれ。
一佛神をあがめたてまつるべきことは。人として存べき事なれば。あたらしく申べからず。その中に。いさゝか心得わくべき事の侍なり。佛の出世といふも。神の化現といふも。しかしながら世のため人のためなり。されば人をあしかれとにはあらず。心をいさぎよくして。仁義禮智信をたゞしくして。本をあきらめさせんがため也。その外には。なにのせんにか出現し給ふべき。此本意を心得ぬ程に。佛を信ずるとて人民をわづらはし。人の物をとり寺院をつくり。或は神をうやまふと云て。人領を追捕して社禮を行ふことのみ侍る。かやうならんには。佛事も神事も。そむき侍べきとこそ覺侍れ。たとひ一度のつとめをもせず。一度の社參をばせずとも。心正直に慈悲あらん人を。神も佛もをろかには見そなはしたまはじ。ことさら伊勢太神宮。八蟠大菩薩。北野天神も。心すなをにいさぎよき人のかうべにやどらせ給ふなるべし。又我