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て。たゝわた殿のうへのほとをほのかに見て。中つかさのめのとゝ。よへの御くちすさみをめてきこゆ。この命婦そ。ものゝ心えて。かとかとしくは侍人なれ。あからさまにまかてゝ。二の宮の御いかは。正月十五日。その曉まいるに。こ少將のきみ。あけはてゝ。はしたなくなりたるにまいり給へり。れいのおなし所にゐたり。ふたりのつほねをひとつにあはせて。かたみに。さとなるほともすむ。ひとたひにまいりては。木丁はかりをへたてにてあり。殿そわたらせ給。かたみにしらぬ人も。かたらはるゝなと聞にくゝ。されとたれもさるうと〳〵しきことなけれは。心やすくてなん。日たけてまうのほる。かの君は。さくらのをりものゝうちき。あかいろのから衣。れいのすり裳き給へり。紅梅に。もえき。柳のからきぬ。ものすりめなといまめかしけれは。とりもかへつへくそ。わかやかなるうへ人とも十七人そ。宮の御かたにまいりたる。いと宮の御まかなひは橘三位。とりつく人。はしには。こ大夫。式部。うちには。こ少將。御かと。きさい。みちやうの中に。二ところなからおはします。朝日の光あひてまはゆきまてはつかしけなる御まへなり。うへは御なをし。