をしきと。君たちの給へは。いまやうのさまあしきまて。つまもあはせたるそらしさまして。くろほうをゝしまろかして。ふつゝかにしりさきゝりて。しろきかみ一かさねにたてふみにしたり。たいふのおもとしてかきつけさす。
おほかりし豐の宮人さしわきてしるき日かけを哀とそみし
おまへには。おなしくはおかしきさまにしなして。扇なともあまたこそとの給はすれと。おとろおとろしからむも。ことのさまにあはさるへし。わさとつかはすにては。忍ひやかに氣色はませ給へきにも侍らす。これはかゝるわたくしことにこそと聞えさせて。かほしるかるましきつほねの人して。これ中納言の御使。御とのより左京の君に奉らんと。たかやかにさしをきつ。引とゝめられたらんこそ。見くるしけれとおもふに。はしりきたり。女のこゑにて。いつこより入きつるとゝふなりつるは。女御とのゝとうたかひなく思ふなるへし。なにはかりのみゝとゝむることもなかりつるひころなれと。五せちすきぬとおもふ內わたりのけはひ。うちつけにさう〳〵しき。をみの日の夜のてうかくは。けにおかしかりけり。わかやかなる殿上人なと。いかになこりつれ〳〵ならん。たか松のこきんたちさへ。こたみいらせ給し夜よりは。女房ゆるされてまもなくとをりありき給へは。いとはしたなけなりや。さたすきぬるを。かうにてそかくろふる。五せちこひしなとも。ことにおもひたらす。やすらひ。こ兵衞なとや。その裳のすそかさみにまつはれてそ。こ鳥のやうにさへつり。されおはさうすめる。臨時の祭の使は。とのゝ權中將の君なり。その日は御物いみなれは。殿御とのゐせさせ給へり。上達部も。まひ人の公達もこもりて。夜ひとよ。ほそ殿わたり。いとものさはかしき