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Page:Gunshoruiju18.djvu/684

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て森々たるに。玉をみがける社頭のたゝずまゐ。山比の濱の鳥居。はるかにかすみわたりて誠に妙なり。

 吹のこす春の霞もおきつすにたてるや鶴か岡の松風

かくて疊々たる巖をきり山をうがち。舊跡の雲につらなれる所を過て。三浦が崎のとをきなぎさを扁々として行に。蒼海のほとりもなき上に。ふじたゞ太虛空にひとりうかベり。柬路のいづくはあれどけふこそ眞實ふもとよりなり出けんすがたもみえ侍るかとおぼえて。

 春の色の綠にうかふふしのねはたかまの原も雪かとそみる

此浦のあしなといふ所の磯の上に平常和〈東下野守常緣二男。〉侍り。こゝにかさなれる岩を枕としておほくの浪のこゑをきゝあかす。

 難波なるあしなはきけとかけもみす三浦かさきの浪の下草

やよひ半になりぬ。常和にいざなはれて。扁舟に浦づたひし。又かまくらにいたり。建長圓覺兩寺巡見して。雪の下といふ所を分侍るに。門碑遺跡かずしらず。あはれなる老木の花。苔の庭におちて。道をうしなふかとみゆ。

 春ふかき跡あはれなり苔の上の花に殘れる雪の下道

日暮てみなの瀨川近き所にやどり侍しに。嚴頭波しきりにしてよるの雨をきゝあかす。

 水あさき濱のまさこを越浪のみなのせ川に春雨そふる

是より三浦が崎にかへりて又姑洗の過るほどなるに。常和と同じく孤舟に棹さして江嶋へ詣で侍り。西のかたの渚ちかく下りて。はるかなる岩屋有。內に兩界の垂跡功德天まします。則こゝをも蓬萊洞といへる。深祕ありときこゆ。いはほの苔をしきて手向し侍りしに。嶋花。

 ちらさしと江の嶋守やかさすらんかめの上なる山さくら花

其暮澳中より風はげしく海あれて。舷をこす浪大山をかづくがごとし。大悲の弘誓をたの