ことなしひつゝ。こなたのちんのかたよりいつ。をのかしゝいへちといそくも。なにはかりのさと人そはと。おもひをくらる。わか身によせては侍らす。大かたの世のありさま。こ少將のきみのいとあてにおかしけにて。世をうしとおもひしみてゐたまへるを見侍るなり。ちゝきみよりことはしまりて。人のほとよりは。さいはひのこよなくをくれたまへるなんめりかし。よへの御をくり物。けさそこまかに御覽する。御くしのはこのうちの具とも。いひつくしみやらんかたもなし。手匣一よろひ。かたつかたには。白きしきしつくりたる御さうしとも。古今。後撰集。拾遺抄。そのぶとものは。五てうにつくりつゝ。侍從の中納言と延幹と。をの〳〵さうしひとつに。四くわんをあてつゝかゝせ給へり。へうしは羅。ひもおなしからのくみ。かけこのうへにいれたり。したには。よしのふもとすけやうの。いにしへ今のうたよみとものいへ〳〵の集かきたり。えんかむとちかすみのきみとかきたんは。さるものにて。これはたゝ。けちかうもてつかはせ給へき。みしらぬものともにしなさせたまへる。いまめかしうさまことなり。
紫式部日記下
五節は廿日に參る。侍從宰相に。まひ姬のさうそくなとつかはす。右宰相中將の。五節にかつら申されたるつかはすついてに。はこ一よろひにたきものいれて。心葉梅の枝をして。いとみ聞えたり。にはかにいとなむ。常のとしよりも。いとみましたるきこえあれは。東のおまへのむかひなるたてしとみに。ひまもなくうちわたしつゝ。ともしたる火の光。ひるより