とて。あけたては。まつむかひさふらひて。色ゝのかみえりとゝのへて。物語のほんともそへつゝ。ところ〳〵にふみかきくはる。かつは。とちあつめしたゝむるをやくにて。あかしくらす。なにのこもちかつめたきに。かゝるわさはせさせ給ふと。きこえ給ふものから。よきうすやうとも。ふてすみなと。もてまいり給ひつゝ。御すゝりをさへもてまいりたまへれは。とらせ給へるを。おしみのゝしりて。ものゝくまにむかひさふらひて。かゝるわさしいつとさいなむなれと。かくへきすみふてなと給はせたり。つほねに物かたりの本ともとりにやりて。かくしをきたるを。御前にあるほとに。やをらおはしまいて。あさらせ給て。みなないしのかんの殿に奉り給てけり。よろしうかきかへたりしは。みなひきうしなひて。心もとなき名をそとり侍りけんかし。わか宮は御物かたりなとせさせ給ふうちに心もとなくおほしめす。ことはりなりかし。御前の池に水鳥ともの。ひゝ〳〵におほくなりゆくをみつゝ。いらせ給はぬさきに。雪ふらなん。このおまへの有さま。いかにおかしからんとおもふに。あからさまにまかてたるほと。二日はかりありてしも雪はふる物か。見ところもなき故鄕の木立をみるにも。ものむつかしう思ひみたれて。年比つれ〳〵になかめあかしくらしつゝ。はなとりのいろをもねをも。春秋に往かふ空のけしき。月のかけ霜雪をみて。その時きにけりとはかりおもひわきつゝ。いかにやいかにとはかり。行末の心ほそさはやるかたなき物から。はかなきものかたりなとにつけて。うちかたらふ人。おなし心なるは。あはれにかきかはし。すこしけとをきたよりともを。たつねてもいひけるを。たゝこれをさま〳〵にあへしら