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Page:Gunshoruiju18.djvu/64

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き夜の御ゑひなめりと見て。ことはつるまゝに。宰相のきみにいひあはせて。かくれなんとするに。東おもてに。とのゝきんたち宰相中將なと入て。さはかしけれは。ふたりみちやうのうしろにゐかくれたるを。とりはらはせ給て。ふたりなからとらへすへさせ給へり。わかひとつつゝつかうまつれ。さらはゆるさむとの給はす。いとはしくおそろしけれは。きこゆ。

 いかにいかゝ數へやるへき八千歲の餘り久き君かみよをは

あはれつかうまつれるかなと。二たひはかりすせさせ給て。いとゝうのたまはせたる。

 蘆たつの齡しあれは君かよの千歲の數もかそへとりてん

さはかりゑひ給へる御こゝちにも。おほしけることのさまなれは。いとあはれにことはりなり。けにかくもてはやし聞え給にこそは。よろつのかさりもまさらせ給ふめれ。千代もあへましく。御行すゑのかすならぬこゝちにたに。おもひつゝけらる。宮のおまへきこしめすや。つかうまつれりと。我ほめし給て。宮の御てゝにて。まろわろからす。まろかむすめにて。宮わろくおはしまさす。はゝもまたさいはい有とおもひて。わらひ給ふめり。よいおとこはもたりかしとおもひたんめりと。たはふれきこえ給も。こよなき御ゑひのまきれなりとみゆ。さることもなけれは。さはかしき心ちはしなから。めてたくのみきゝゐさせ給。とのゝうへ。きゝにくしとおほすにや。わたらせ給ひぬるけしきなれは。をくりせすとて。はゝうらみ給はん物そとて。いそきて御丁のうちをとをらせ給。宮なめし無禮とおほすらん。おやのあれはこそ。子もかしこけれと。うちつふやき給ふを。人々わらひきこゆ。いらせ給ふへきこともちかうなりぬれと。人々はうちつきつゝ心のとかならぬに。おまへには。御さうし册子つくりいとなませ給