Page:Gunshoruiju18.djvu/536

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 戀しのふ心やたくふ朝夕に行てはかへるをちのしら雲

又おなじたびのだいにて。

 かりそめの草の枕のよなを思ひやるにも袖そ露けき

とある所にも。又かへりごとをぞかきそへたる。

 秋ふかき草の枕に我そなくふりすてゝこしすゝ蟲のねを

又此五十首のうたのおくに。こと葉をかきそふ。大かた歌のさまなどしるしつけておくに昔の人の歌。

 是をみはいか計かとおもひつる人にかはりてね社なかるれ

とかきつく。じゞうのをとうと爲守十四の君のもとよりも。《常樂記云嘉曆三年十一月八日曉月房逝去終焉歌ムトセアマリヨトセノ冬ノナカキヨニウキヨノユメヲミハテヌルカナ是ニヨツテ按スルニ弘安元年ハ爲守十四也諸本十六ニ作ルモノハ非ナランカ》三十イ首のうたををくりて。これにてんあひて。わろからん事をこまかにしるしたべといはれたり。ことしは十六ぞかし。歌のくちなればやさしくおぼゆるも。返す心のやみとかたはらいたくなむ。これも旅のうたには。こなたを思ひてよみたりけりとみゆ。くだりしほどの日記をこの人々の許へつかはしたりしをよまれたりけるなめり。

 立別れふしの煙をみても猶心ほそさのいかにそひけん

又是も返しをかきつく。

 かりそめに立別ても子をおもふ思ひをふしの煙とそみし

また權中納言の君。こまやかに文かきて。くだり給ひし後は。うたよむ友もなくて。秋に成てはいとゞおもひいできこゆるまゝに。ひとり月をのみながめあかしてなどかきて。

 東路の空なつかしきかたみたに忍ふ淚にくもる月かけ

此御返事これも古鄕の戀しさなどかきて。

 かよふらし宮この外の月みても空なつかしきおなしなかめは

都の歌ども。こののちおほくつもりたり。又かきつくベし。

 しき嶋や やまとの國は あめつちの ひらけ初し

 むかしより 岩戶を明て おもしろき かくらのことは

 うたひてし されはかしこき ためしとて ひしりの御世もイ

 すてられすイ 人のこゝろを たねとして 萬のわさを