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Page:Gunshoruiju18.djvu/512

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そ。露のいのちをもかけて。今日までもながらへてけるを。うきよの人のつらき僞にさへならひはてにけることも有にや。おなじ世ともおぼえぬ迄に隔りはてにければ。ちかの鹽がまもいとかひなきこゝちして。

 みちのくのつほのいしふみかき絕て遙けき中と成にける哉

日ごろ降つる雨のなごりにたちまふ雲まのゆふづく夜のかげほのかなるにをしあけがたならねど。うき人しもとあやにくなるこゝちすれば。つまどはひきたてつれど。かどちかくほそき川の流れたる水のまさるにや。常よりもをとする心地するにも。いつのとしにかあらん。此川の水の出たりしに。人しれず波をわけしことなど。たゞ今のやうにおぼえて。

 思ひ出る程にも波はさはきけりうきよをわけて中川の水

あれたる庭に吳竹のたゞすこし打なびきたるさへ。そゞろにうらめしきつまとなるにや。

 よとともに思ひ出れは吳竹の恨めしからぬそのふしもなし

をのづからことのつゐでになどばかりおどろかし聞えたるにも。よのわづらはしさに。思ひながらのみなん。さるべきつゐでもなくて。みづから聞えさせずなど。なをざりに書すてられたるもいと心うくて。

 消はてん煙ののちの雲をたによもなかめしな人めもるとて

とおぼゆれど。こゝろのうちばかりにてくだしはてぬるはいとかひなしや。そのころこゝちれいならぬことありて。命もあやうきほどなるを。こゝながらともかくもなりなばわづらはしかるべければ。思ひかけぬたよりにて。おたぎの近き所にてはかなき宿りもとめいでてうつろひなんとす。かくとだに聞えさせまほしけれど。とはす語もあやしくて。なくかどをひきいづるおりしも。先にたちたる車あり。さきはなやかにおひてこせんなどこと