Page:Gunshoruiju18.djvu/46

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てさふらふ。にしには御ものゝけうつりたる人々。御ひやうふ一よろひをひき。つほねくちには。木丁をたてつゝ。けんさあつかりのゝしりゐたり。みなみには。やんことなき僧正僧都かさなりゐて。ふとうそんのいき給へるかたちをも。よひいてあらはしつへうたのみゝうらみゝ。聲みなかれわたりにたる。いといみしうきこゆ。北の御さうしと御丁とのはさま。いとせはきほとに四十よ人そ。後にかそふれはゐたりける。いさゝかみしろきもせられす。氣あかりて物そおほえぬや。いまさとよりまいる人々は。中々ゐこめられす。裳のすそ。きぬの袖。ゆ[つイ]らんかたもしらす。さるへきおとなゝとは。しのひてなきまとふ。十一日の曉に。北の御さうし二まはなちて。ひさしにうつらせ給ふ。みすなともえかけあへねは。御木丁ををしかさねておはします。僧正きやうてふ。そうつ。ほうむそうつなとさふらひて加持まいり。院源そうつきのふかゝせ給し御願書に。いみしきことともかき加へて。よみあけつゝけたることの葉の。あはれにたうとく。たのもしけなること限りなきに。とのゝうちそへて。佛ねんし聞え給ふほとのたのもしく。さりともとは思ひなから。いみしうかなしきに。人々なみたをえほしあへす。ゆゝしうかうなと。かたみにいひなからそ。えせきあへさりける。人氣おほくこみては。いとゝ御心ちもくるしうおはしますらんとて。南東おもてにいたさせ給ふて。さるへきかきり。この二まのもとにはさふらふ。とのゝうへ。さぬきと。宰相君。くらのみやうふ。御木丁のうちに。仁和寺のそうつ濟信の君。三井寺の內供のきみも。めしいれたり。とのゝよろつにのゝしらせ給ふ御こゑに。そうもけたれて音せぬやうなり。いま一さに