Page:Gunshoruiju18.djvu/403

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そこにも猶しもこなたざまにわたりするものども立こみたれば。船のかぢとりたるおのこども。舟をまつ人のかずしらぬに心おごりしたるけしきにて。袖をかひまくりて。かほにあてゝ。さほにおしかゝりて。とみに舟もよせず。うそぶいてみまはし。いといみじうすみたるさま也。むごにえわたらでつくとみるに。むらさきのものがたりにうぢの宮のむすめどもの事あるを。いかなる所なれば。そこにしもすませたるならむとゆかしく思ひし所ぞかし。げにおかしき所哉と思ひつゝ。からうじて渡りて。殿の[御領所イ]のうぢ殿をいりて見るにも。うき舟の女ぎみのかゝる所にや有けんなどまづ思ひ出らる。夜ふかく出しかば。人々こうじて。やひろうちと云ところにとゞまりてものくひなどするほどにしもともなるものども。かうみやうのくりこま山にはあらずや。日もくれがたになりぬめり。ぬしたちてうどとりおはさうぜよやといふをいと物おそろしうきく。その山越はてゝ。にへのの池のほとりへいきつきたるほど日は山の端にかゝりにたり。今はやどとれとて。人々あかれてやどもとむる所。はしたにて。いとあやしげなる下すのこいへなんあるといふに。いかゞはせんとてそこにやどりぬ。みな人々京にまかりぬとて。あやしのおのこふたりぞゐたる。その夜もいもねず。此おのこいでいりしありくを。おくの方なる女ども。などかくしありかるゝぞととふなれば。いなや。心もしらぬ人をやどしたてまつりて。かまはしもひきぬかれなば。いかにすべきぞとおもひて。えねでまはりありくぞかしと。ねたると思ひていふ。きくにいとむくしくおかし。つとめてそこをたちて。東大寺によりておがみ奉つる。いそのかみも