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そこにも猶しもこなたざまにわたりするものども立こみたれば。船のかぢとりたるおのこども。舟をまつ人のかずしらぬに心おごりしたるけしきにて。袖をかひまくりて。かほにあてゝ。さほにおしかゝりて。とみに舟もよせず。うそぶいてみまはし。いといみじうすみたるさま也。むごにえわたらでつく〴〵とみるに。むらさきのものがたりにうぢの宮のむすめどもの事あるを。いかなる所なれば。そこにしもすませたるならむとゆかしく思ひし所ぞかし。げにおかしき所哉と思ひつゝ。からうじて渡りて。殿の
そこにも猶しもこなたざまにわたりするものども立こみたれば。船のかぢとりたるおのこども。舟をまつ人のかずしらぬに心おごりしたるけしきにて。袖をかひまくりて。かほにあてゝ。さほにおしかゝりて。とみに舟もよせず。うそぶいてみまはし。いといみじうすみたるさま也。むごにえわたらでつく〴〵とみるに。むらさきのものがたりにうぢの宮のむすめどもの事あるを。いかなる所なれば。そこにしもすませたるならむとゆかしく思ひし所ぞかし。げにおかしき所哉と思ひつゝ。からうじて渡りて。殿の