Page:Gunshoruiju18.djvu/40

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ゐてものみるに。まつそれをは見て。此人をみむみむと穴をあけてみさはくそいとさまあしきや。暮ぬれは事はてゝ。宮も入せ給ぬ。御送りにかんたちへかすをつくして御遊ひなとあり。いとおかしきにも。つれなりしふるさとまつ思ひ出らる。かくて侍ふほとに。けすなとの中にもむつかしき事をいふへかめるをきこしめして。かく人のおほしの給ふへきにも侍らす。うたてもあるかなと心つきなけれは。內にいらせ給ふ事いとゝまとをなり。かゝるもいとかたはらいたう覺ゆれと。いかゝはせん。たゝともかくもしらて。もてなさせおはしまさんまゝに從ひてとてさふらふ。御北の方の御姉は。東宮三條女御娍子にてさふらひ給か。更に物し給ふほとにて。御文あり。いかにそ此比人のいふことあり。まことか我さへなん人けなう覺ゆる。夜のまにも渡り給へかしとあるに。かゝらぬ事をたに人はいふをましてとおほすに。いと心うくて。御返うけ給はりぬ。いつも思ふさまならぬ世中の。此比は見苦しきことさへ侍りてなん。あからさまに參り侍て。宮たちをも見參らせて。心も慰め侍らんとなん思ひ給ふるを。迎へに給はせよ。これよりはよも耳にもきゝいれ侍らしと思給へてなんと聞え給て。さるへき物なととりしたゝめ給て。むつかしき所なととり拂はせ給ふ。しはしかしこにあらん。かくてあれは。あちきなく此方にもえさし出給はぬも。苦しう覺え給ふらんにとの給に。人々いてあさましき世中の人のあさみ聞えさする事よ。參りけるも。おはしましてこそは迎へさせおはしましけれ。すへていと目もあやにこそ侍るなる。かのつほねに侍るなるへし。ひるも三度四度おはします也。いとよし。しはしこらしきこえ給へ。餘り物聞え