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Page:Gunshoruiju18.djvu/383

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のがたりし明しつゝ。あくればたち[以下一本三八七頁上段一四行ニツヾク](底本三七三頁上段一行)やあらまし。いといふ[以下一本三七〇頁上段一二行ヨリツヾク]かひなくまうでつかうまつることなくてやみにき。十二月廿五日宮の御佛名にめしあれば。そのよばかりと思ひて參りぬ。白ききぬどもにこきかいねりをみなきて。四十餘人計出ゐたり。しるべしいでし人のかげにかくれてあるがなかに。うちほのめいて。あかつきにはまかづ。雪うち散て。いみじくはげしくさえこほるあかつき方の。月のほのかに。こきかいねりの袖にうつれるも。げにぬるゝがほなり。みちすがら。

 年はくれ夜は明かたの月かけの袖に移れる程そはかなき

かう立出ぬとならば。さても宮づかへのかたにもたちなれ。世にまぎれたるも。ねぢけがましきおぼえもなきほどは。をのづから人のやうにもおぼしもてなさせ玉ふやうもあらまし。おやたちもいと心えず。ほどもなくこめすへつ。さりとてその有さまのたちまちにきらきらしきいきほひなどあんべいやうもなく。いとよしなかりけり。すゞろ心にても。ことのほかにたがひぬる有さまなつかし。

 幾千たひ水の田芹をつみしかと思ひしことの露もかなはぬ

とばかりひとりごたれてやみぬ。其後は何となくまぎらはしきに。ものがたりのことも打たえわすられて。物まめやかなるさまに心も成果てぞ。などておほくの年月をいたづらにてふしをきしに。をこなひをも物まうでをもせざりけん。此あらましごととても。思しことどもは。此世にあんべかりけることゞもなりや。ひかる源氏ばかりの人は。此世におはしけ[るイ]やは。かほる大將の宇治にかくしすへ玉べきもなき世なり。あな物ぐ[以下一本三七一頁下段八行ニツヾク](底本三七三頁下段一五行)るをやくにゝて物まうで[以下一本三八七頁上段十四行ヨリツヾク]をわづかにしても。はかしく[人イナシ]のやうならんともねんぜられず。此ごろの世の