Page:Gunshoruiju18.djvu/382

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くて。さすがにわかい人にひかれて。おりさしいづるにも。なれたる人はこよなく何ごとにつけてもありつきがほに。我はいとわかうどに有べきにもあらず。又おとなにせらるべきおぼえもなく。時々のまらうどにさしはなた扶れてすゞろなるやうなれど。ひとへにそなたひとつをたのむベきならねば。我よりまさる人あるも。うらやましくもあらず。中々心やすくおぼえて。さるベき折ふしまいりて。つれづれな[るイ]さむベき人とものがたりなどして。めでたきこともおかしくおもしろき折々も。我身はかやうにたちまじり。いたく人にも見しられむにも。はゞかりあんベければ。たゞおほかたの事にのみきゝつゝすぐすに。長久三年四月十三日宮達入內給藤壺儲饗十四日主上渡御二十日兩宮自由是出給有明の月いとあかきに。わがねむじ申す天てる御神は。內にぞおはしますなるかし。かゝるおりにまいりておがみ奉らんとおもひて。四月ばかりの月のあかきに。いとしのびてまいりたれば。はかせの命ぶはしるたよりあれば。とうろの火のいとほのかなるに。あさましくおい神さびて。さすがにいとよう物などいひゐたるが。人ともおぼえず。神のあらはれ玉へるかとおぼゆ。又の夜も月のいとあかきに。ふぢつぼのひんがしのとをしあけて。さベき人々物がたりしつゝ月をながむるに。女御藤生子長曆三年十二月二十一日入內內大臣敎通女給なるをとなひ。いみじう心にくゝいうなるにも。中宮嫄子長曆元年正月七日入內二十九日爲女御關白女三月立后同三年八月二十八日崩御かやうにのぼらせ給はましなど人々いひいづる。げにいとあはれなりかし。

 天のとを雲ゐなからもよそにみて昔の跡をこふる月哉

冬になりて。月なく。雪もふらずながら。月のひかりに空さすがにくまなくさえわたりたる夜のかぎり。殿の御かたにさぶらふ人々とも