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Page:Gunshoruiju18.djvu/373

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ひきわたなどもし[イナシ]などしたるに。これはおとこなどもそはねばいとてばなちにあらしげにて。とまといふものをひとへ打ふきたれば。月のこりなくさし入たるに。紅のきぬうへにきて。打なやみてふしたる。つきかげさやうの人には。こよなく[透イ]て。いとしろくきよげにて珍らしと思ひて。かきなでつゝうちなくを。いとあはれに見すて難くおもへど急ぎゐて[いイ]かるゝ心地。いとあかずわりなし。おもかげにおぼえて悲しければ。月のけうもおぼえずくんじふじぬ。つめとて。舟に車かきすへてわたして。あなたのきしにくるまひきたてゝ。をくりにき扶へつる[きつるイ]人々。これよりみなかへりぬ。のぼるはとまりなどして。いきわかるゝほど。行もとまるもみななきなどす。おさな心地にもあはれに見ゆ。今は武藏の國に成ぬ。ことにおかしき所も見えず。はまもすなごしろくなどもなく。こひぢのやうにて。むらさき生ときく野も。あし荻のみたかくおひて。馬にのりてゆみもたるすゑ見えぬまでたかく生ひしげりて。中をわけ行に。たけしばといふ寺あり。はるかにいゝさらふ[はゝさうイ]といふ所のらうのあとのいしずへなど有。いかなる所ぞととへば。是はいにしへたけしばといふさかなり。國の人の有けるを火たきやのひたく衞士にさし奉りたりけるに。御前の庭をはくとて。などやくるしきめを見るらん。わがくにに七三つくりすへたるさかつぼにさしわたしたるひたえのひさごのみなみ風吹ば北になびき。北風ふけば南になびき。西吹ば東になびき。東ふけば西になびくを見で。かくてあるよと。ひとりごちつぶやきけるを。その時帝の御むすめいみじうかしづかれ給ふ。たゞひとりみすのきはに立いでたまひて。柱によりかゝりて。御覽ずるに。此