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Page:Gunshoruiju18.djvu/370

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つくろふ人侍らねば。いとことやうになんとて。うりををこせて侍に。

秋ことにたゝみるよりはうりふ山我そのにやはなり試みぬ

あか月にむしのなくを。

きゝしかなわかこと秋のよもすからねられぬ儘に虫も鳴也

あるそうののぼり侍らん事とひて侍しに。

君はおもふ宮古はこひし人しれすふたみちかけて歎比哉

きくをいとおほううへて侍に。のぼり侍なんとてむすびつけ侍し。

みつきなはふる鄕もこそ忘らるれこの花さかぬまつ歸り南

をちゝうるこどものはゝの。ことおとこにつきてはべれば。いみじうなげくよしをきゝ侍て。

その原の梢をみれは箒木のうきをほののみイきく袖もぬれけり

かひのすけといふもののをいみじうこのみ侍しにつかはす時。しかのなき侍しに。

よりこをそしかも誠に思ひけるかひよとこと草にして

京よりねんごろなる人々の御ふみどもあるに。なくなり給にし人おはせましかばと。みればおぼえ侍て。

今一人そへてやみましたまつさを昔の人のあるよなりせは

きくにむすびつけしふみをある人のみたまひて。九日。

みつきなく留れと迄は思ねとけふはすくまてイといふ花とイ社みれ

返し。

眞心によはひしとまる物ならはちゝの秋迄すきもしなまし

なをいでて十一日はまなのはしのもとにとまり侍イて。月のいとおもしろきを見侍て。

うつしもて心靜かにみるへきをうたても浪のたイち騷くかな

夜ふけてしかのなくに。

たかしやま松の木すゑに吹風のみにしむ時そ鹿もなきけくなイ

うつろひする所にいはひのこゝろを。

君か代はなるをの浦になみたてる松の千歲そ數にあつめん

このまへになるをのはまといふ所の侍なり。さてそのまつは見え侍しなりとぞ。


右いほぬし一卷以亞相爲氏卿眞蹟書寫以扶桑拾葉集及一本挍合畢