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Page:Gunshoruiju18.djvu/368

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かうをこなふとて。人々あまた侍れど。みもしらぬ人なり。ひとをよびいだしていふ。

われをとふ人こそなけれ昔みし都の月はおもひいつらん

又こと人々のさるべきもなくなりにけりときゝて。

なそもかくみとみし人は消にしをかひなき身しも何留り劍

すのまた洲股のわたりにてあめにあひて。そのよやがてそこにとまりて侍に。こまどもあまたみゆ。

澤にすむこまほしからぬ道にいてゝ日暮し袖を濡しつる哉

おはりなるみのうら蓑浦にて。

かひなきは猶人しれすあふことの遙なるみのうらみ成けり

ふたこ二村山にて。つゝじのはると咲て侍に。

からくにのにしなりとてもくらへみむ二村山の錦にはにし

その夜こふ國府にとまる。このをりしのをかに人々とまりて。きたなどいふべきにもあらず。かしは木のしたにまくひきてやどり侍て。人しれずおもふことおほう侍に。曉がたに。

ねらるやとふしみつれとも草枕有明の月も西袖イにみえけり

しかすがのわたりにて。わたしもりのいみじうぬれたるに。

旅人のとしも見えねとしかすかにみなれてみゆる渡守哉

みやぢ宮路山の藤のはなを。

紫のくもとみつるはみや地山名高き藤のさける也けり

たかし高師山にてすへつきつくるところときゝて。

たつならぬ高師の山のすへつくり物思ひをそやくとすと聞

はまな濱名はしのもとにて。

人しれすはまなの橋のうちわたし歎そ渡るいくよなきよを

はしのこぼれたるを。

中絕て渡しもはてぬ物ゆへになにゝはまなの橋をみせけん

まかりつきてのち雨のふり侍にければ。かくおぼえ侍。

誰に言むひまなき比のなかめふイる物思ふ人の宿りからかと