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まかりにける。
たひのいもねて心みつ草枕霜のおきつるあかつきそうき
返いひにつかはしゝ。
さてをしれしもの社もよをへてはおきつゝかよふ我衣手を
神に申侍し。よにはべるかひ侍らぬをこゝろにかなふなどおぼえ侍しかば。ながれむのちの名も。しらでやはべりなましなどおもひ給へられ侍しかば。身をやなげてましとおぼえ侍て。
ひたふるに賴むかひなき浮身をは神もいかにか思なりなん
まかりいでしに。きぶねに。
うきことのつゐにたえすは神にさへ恨を殘す身とや成なん
かたをかのすぎにむすびつけし。
片岡のいかきのすきししるしあらは夕暮每にかけて忍はん
いひちぎる事ありける人に。
契をきし大和なてしこ忘るなよみぬまに露の玉きえぬとも
こまかなる文を尋えてうれしき事の侍に。
うきこともきみかゝたまつみつるより露殘さすそ思捨つる
のぼらん事。はるかに人ののたまへるに。くらうなるほど。しとみおろす人のなどかさてはといふに。おもふたまへし。
思やるかたしなけれはつれ〳〵と
よろづに思ひやりきこゆるに。しだりをのとのみ思ひしられ侍。みによろづしられ侍て。
かくしあらは冬のさむしろ打拂ふよはの衣手今やぬるらん
風にはかにおこり侍て。宮しろよりまかりいで侍て。
かつらきのくめの岩橋しるまてはと思ふ命の絕ぬへきかな
きくやうある人に。
した紐は結ひをきけん人ならてまた打とけむ事やものうき
返し。
濡衣につけゝん紐はきなからも結ひもしらすときも習はす