Page:Gunshoruiju18.djvu/345

提供: Wikisource
ナビゲーションに移動 検索に移動
このページは校正済みです


うみをみやれば。

 雲もみな浪とそ見ゆるあまもかないつれか海と問て知へく

となんうたよめる。さてとうかあまりなれば。月おもしろし。船にのりはじめし日より。ふねにはくれなゐこくよききぬきず。それはうみのかみにおぢてといひて。なにのあしかげにことづけて。ほやのつまのいすしずしあはびをぞこゝろにもあらぬはぎにあげて見せける。

十四日。あかつきより雨ふれば。おなじところにとまれり。ふなぎみ節忌す。精進物なければ。むまどきよのちにかぢとりの昨日つりたりしたひに。ぜになければ。よねをとりかけてちられぬ。かゝる事なほありぬ。かぢとりまたたひもてきたり。よねさけ[などイ]くる。かぢとりけしきあしからず。

十五日。けふ小豆粥にす。くちをしくなほ日のあしければ。ゐざるほどにぞけふはつかあまりへぬる。いたづらに日をふれば。ひとびと海をながめつゝぞある。めのわらはのいへる。

 たてはたつゐれは又ゐる吹風と浪とは思ふとちにやわる覽

いふがひなきものゝいへるにはいとにつかはし。

十六日。風なみやまねば。猶おなじ所にとまれり。たゞ海に浪なくして。いつしかみさきといふところわたらんとのみなんおもふ。かぜ浪と[もイナシ]にやむベくもあらず。ある人のこのなみたつを見てよめる歌。

 霜たにもおかぬ潟そといふなれと浪のなかには雪そ降ける

さて舟にのりし日よりけふまでに。はつかあまりいつかになりにけり。

十七日。くもれる雲なくなりて。あかつきづく夜いとおもしろければ。船をいだしてこぎゆ