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Page:Gunshoruiju18.djvu/31

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かしうおほさる。宮の御さまなといとめてたし。御なをしにて。えならすめてたき御ぞ。いたしうちきもし給へる。いとあらまほしけにみゆる。目さへあたしきにやとまて覺ゆ。又の日きのふの御氣しきのいとあさましとおほいたりしこそ。いと心うき物のあはれなりしかとのたまはせたれは。

 葛城の神もさこそは思ひけめくめちにわたすはしたなき迄

わりなくこそはおもひたまへしかときこえさせたれは。たちかへり。

 行のしるしもあらは葛城のはしたなしとてさてややみなん

なといひて。ありしよりはときおはしましなとすれは。こよなくつれもなくさむこゝちす。かくてある程に。よからぬ人々の文なとをこする。又身つからもたちさまよふにつけても。よしなきことのいてくるに。とく參りやしなましと思へと。猶つゝましくて。すかしうも思ひたゝす。霜のいと白きつとめて。

 我うへは千鳥もつけしおほ鳥の羽にも霜はさやはをきける

ときこえさせたれは。

 月も見てねにきといひし人の上にをきしもせしを大鳥のこと

とのたまはせて。やかてくれにおはしましたり。この比の山の紅葉いかにおかしからん。いさゝせ給へ。見むとのたまはすれは。いとよく侍なりときこえて。その日になりて。けふは物忌にとちこめられてあれはなむ。いとくちおしう。これすくしてはかならすとの給はせたるに。その夜しくれ常よりも木々のこのは殘ありけもなくきこゆるに。めをさまして。風のまへなるとひとりこちて。みなちりぬらんかし。昨日みてとくちおしうおもひあかしたるつとめて。かれより。

 神無月よにふりにたる時雨とやけふの詠めをあかす見る覽

扨はくちおしうこそとのたまはせたれは。