Page:Gunshoruiju18.djvu/14

提供: Wikisource
ナビゲーションに移動 検索に移動
このページは校正済みです


のたまひしものをとかなしう思ひみたるゝほとに。れいのわらはきたり。御文あらむとおもふほとに。さもあらねは。心うしとおもふほとも。すきしや。かへりまいるに聞ゆ。

 またましもかはかり社は有まし[か]思もかけぬけふの夕暮

宮御らんして。けにいとおしうもあるかなとおほせと。かゝる御ありきさらにせさせ給はす。北の方と。れいの人の中のやうにこそおはしまさねと。よことにいてんはあやしとおほしぬへし。故宮の六月十三日まてはいたうそしられしとつゝむも。いとねんころにおほさぬにそ。くらき程にそ御返しありける。

 ひたすらにまつ共いはゝ休らはて行へきものを妹か家路に

をろかにやおほしめすらんとおもふこそくるしけれとあれは。たゝなにかこゝにはとて。

 かゝれとも覺束なくも思はへて是も昔のえにこそあるらめ

とおもひ給ふれは。なくさめすはたへんやは。つゆをときこえたり。おはしまさんとおほしめせと。ひころに成ぬ。つこもりの日。女。

 郭公よに隱れたる忍ひねをいつかはきかんけふしすきなは

ときこえさせたれと。人々あまたさふらふほとなれは。御らんせさせて五月一日もてまいりたるを見たまひて。

 忍ひねはくるしきものを郭公こたかき聲をけふよりはきけ

とて。ニ三日ありてしのひてわたらせ給たり。女はものへまいらむとて。精進なとしたるうちに。いとまとをなる御心さしのなきなめりかしと。なさけなからしとはかりにこそと見れは。ことに物なともきこえて。佛にことつけ奉りてあかしつ。つとめていとめつらかにあかしつるなとの給はせて。

 いさやまたかゝる思を知ぬ哉あひてもあはて明るものとは

あさましとあり。さそあさましきさまにおほしつらんといとおしくて。