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申。此十五日になむ。月の宮古よりかぐや姬のむかひにまうでくなり。たうとくとはせ給。此十五日[にイ]は人々給りて。月の宮古の人々まうでこば。とらへさせむと申。御使かへりまいりて。翁のあり樣申て。奏しつる事ども申を聞召ての給ふ。一目給ひし御心にだにわすれ給はぬに。明暮みなれたるかぐや姬をやりていかがおもふべき。此十五日司々に仰て。勅使せうしやう高イ野のおほくにといふ人をさして。六ゑのつかさ合て二千人の人を竹とりが家につかはす。家にまかりて。ついぢの上に千人。屋の上に千人。家の人々いとおほくありけるにあはせて。あける隙もなくまもらす。此守る人々も弓矢をたいして。おもやの內には女ども番にをりて守す。女ぬりごめの內にかぐや姬をいだかへてをり。翁もぬりごめの戶をさして戶口にをり。翁いはく。かばかり守る所に。天の人にもまけむやといひて。屋の上にをる人々にいはく。露も物空にかけらば。ふといころし給へ。守る人々のいはく。かばかりして守る所にかは[ほイ]り一だにあらば。先いころしてほかにさらさむとおもひ侍ると云。翁これを聞て。たのもしがりをり。是を閒てかぐや姬は。さしこめてまもりたゝかふべきしたくみをしたりとも。あの國の人えたゝかはぬ也。弓やしていられじ。かくさしこめてありとも。かの國の人こば皆あきなんとす。相たゝかはんとするとも。かの國の人きなば。たけき心つかふ人もよもあらじ。翁のいふやう。御むかへにこむ人をば。ながきつめしてまなこをつかみつぶさん。とさ[イ无]かがみをとりてかなぐりおとさむ。さかしりをかきいでて。こゝらのおほやけ人に見せて。はぢをみせむと腹立おる。かぐや姬云。こは高になの給ひそ。屋のうへにをる人共の聞