Page:Gunshoruiju17.djvu/242

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おどろしく廿人のひとののぼりて侍るなれば。あれてよりまうでこず[なりイ]。せさせ給ふべきやうは。此あなゝひをこぼちて人みなしりぞきて。まめならむ人をあらこにのせすへて。つなをかまへて鳥のこうまん間につなをつりあげさせて。ふとこやす[イ无]かひをとらせ給なん。よき事なる[ばよかるイ]べきと申。中納言の給ふやう。いとよき事なりとて。あなゝひをこぼし。人みなかへりまうできぬ。中納言くらつまろにの給はく。つばくらめはいかなる時にか子うむとしりて人をばあぐべきとのたまふ。くらつまろ申やう。つばくらめ子うまむとする時は。おをさ[さイ]げて七度めぐりてなんうみおとすめる。扨七度めぐらんおりひきあげてそのおりこやすイ无貝はとらせたまへと申。中納言喜て。よろづの人にもしらせ給はでみそかにつかさにいまして。をのこどもの中にまじりて。夜をひるになしてとらしめ給ふ。くらつまろかく申をいといたく喜ての給ふ。こゝにつかはるゝ人にもなきにねがひをかなふることのうれしさとの給ひて。御ぞぬぎてかづけ給つ。さらによさり此司にまうでことの給ひてつかはしつ。日暮ぬればかのつかさにおはして見給ふに誠につばくらめ巢つくれり。くらつまろ申やう[にイ]。おうけて[をさゝげイ]めぐるに。あらこに人をのぼせてつりあげさせてつばくらめの巢に手をさし入させてさぐるに。物もなしと申に。中納言あしくさぐればなきなりと腹立てたればかりおぼふらんにとて。われのぼりてさぐらむとの給ひて。籠に入てつられのぼりてうかゞひ給へるに。つばくらめ尾をさげ[さゝげイ]ていたくめぐりけるにあはせて。手をさゝげてさぐり給ふに。[手にイ]ひらめる物さはりけるとき。我物にぎりたり。今はおろしてよ。おきなしえたたり[イ无]との給ひて。あつま