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Page:Gunshoruiju17.djvu/231

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にまかると聞せて。三年計大和國とをちの郡に有山寺に。びむづるの前なるはちのひたぐろに墨付たるを取て。錦の袋に入て。つくり花の枝につけて。かぐや姬の家にもて來て見せければ。かぐや姬あやしがりてみれば。はちの中にふみ有。ひろげて見れば。

 海山の道にこゝろをつくしはて[みイ]いしの鉢のなみた流れき

かぐや姬光や有とみるに。螢ばかりのひかりだになし。

 置露の光をたにもやとさましをくら山にてなにもとめけむ

とて返し出すを。はちを門にすてゝ。此歌の返しをす。

 しら山にあへは光のうするかと鉢をすてゝも賴まるゝかな

とよみて入たり。かぐや姬返しもせずなりぬ。みゝにも聞入ざりければ。いひわづらひて歸りぬ。かのはちをすてゝ又云けるよりぞ。おもなき事をばはちをすつとはいひける。倉もちの御子は。心たばかりある人にて。おほやけには。つくしの國にゆあみにまからんとていとま申して。かぐや姬の家には。玉のえだとりになむまかるといはせてくだり給ふに。つかふまつるべき人々皆難波まで御送りしける。御子いと忍びてのたまはせて人もあまたゐておはしまさず。ちかうつかうまつる限りしていで給ひ。御送りの人々見たてまつり送りて歸りぬ。おはしましぬと人にみえ給ひて三日ばかりありて漕かへり給ひぬ。かねてことみなおほせたりければ其時ひとつ一のイ寶なりけるかぢ[內イ]だくみ六人をめしとりて。たはやすく人よりくまじき家つくり[家をつくりてイ]。かまどをみへにしこめて。たくみらを入給ひつゝ御子も同じ所にこもり給ひて。しらせ給ひたるかぎり。十六そをかみにくどをあけて玉のえだを作り給ふ。かぐや姬のたまふやうにたがはず作り出づ。いとかしこくた